移住者インタビューVol.4:リュネビル刺繍作家・片岡彩さん
今年の梅雨明けはいつになるのでしょうか。
ただでさえ短い軽井沢の夏なのに、このまま秋になってしまわないか心配になります(笑)
キラキラ木漏れ日が待ち遠しい…!ただ、町中がマイナスイオンに包まれたようなミスティな風景も、それはそれで軽井沢らしさを感じたりもします。
さて、今回は第4回目となります移住者インタビュー。
2018年、20代で軽井沢に単身移住した若きアーティストに登場していただきます。
リュネビル刺繍作家として活動する、片岡彩さん。彼女が描く夢とは?
−彩さんはまだ20代だとお伺いしました。最近は若い世代の移住も増えてきていますが、とはいえ20代での単身移住はやはり珍しいですよね。きっかけは何だったのでしょうか?
私は長野市の出身なんです。
とはいえ、幼い頃から信州には馴染みがあったのですが、実は軽井沢という場所は通りかかったことがある程度。きちんと訪れた経験はなかったんです。
ただなんとなく心の中にずっと憧れがあったのかもしれません。
高校卒業後パリへ留学した私は、その後約7年間海外生活を経験しましたが、帰国したら軽井沢で生活し、製作活動をしてみたい…と漠然と考えるようになって。
そんな思いが届いたのでしょうか。帰国してしばらくは東京を拠点にしていたのですが、ご縁があり軽井沢でアトリエを借りられることに。
それを機に、2018年、念願の軽井沢暮らしを始めました。
*片岡さんのアトリエ。軽井沢駅前 市川保工務店内にある。
−移住して、1年と少し。東京暮らしとの違いや、不便を感じることはありませんか?
それが、まったくないんです(笑)
確かにコンビニは23時で閉まるし、東京にいる同世代が夜遊びしているような場所は、軽井沢にはありません。
でもむしろ、私はそういう環境を求めて移住したので。自分自身と向き合う時間を最優先にできる環境で、製作活動がより一層充実しました。
何よりも、東京で生活していたら絶対に出会えなかった素敵な方達と親しくなれたこと、人との縁に恵まれたことに感謝していますね。
軽井沢にきて本当に良かったと、日々感じています。
−東京はもちろん、パリやドーハなど海外生活も豊富に経験された彩さんにとって、軽井沢の魅力はどのようなところにあると思いますか?
やっぱり、日々の移ろい、季節の移ろいの素晴らしさ。
どこにいても同じように時間は過ぎていくわけですが、刻々と姿を変える自然の美しさに気づくことができたのは、アーティストとして活動する私にとって大きな財産でした。
春の新緑、夏の賑わい、秋の紅葉、晩秋のノスタルジー、冬の静けさ…。
どの瞬間も素晴らしく、しかもそれを身近に、ダイレクトに感じられる。それはやはり、都会で暮らしていては感じられない感動です。
軽井沢の豊かな自然に身を置いたことが、私の作品にも大きく影響を与えていると感じます。
−なるほど。彩さんの作品は、自然の草花をモチーフにしたものが多いですよね。私も以前お花モチーフのピアスをオーダーさせていただきましたが、細部までのこだわり、洗練されたシルエットがとても気に入っています。
毎日製作活動でお忙しいと思いますが、オフの時間に行かれるような、お気に入りの場所などはありますか?
旧軽井沢の『Sajilo Café Forest』がお気に入りです。
最初に訪れた際、そのノスタルジックな雰囲気が、私の中にあった軽井沢のイメージそのままだ!と感動したんです。
すぐ近くに神社と教会が隣り合わせにあるのも好き。
アトリエから近いこともあり、駅前の『丹念亭』にもよく伺います。
落ち着いた雰囲気が好きで、ツツジの季節や夏場はテラス席で。冬は暖炉を眺めながら。気分転換や考え事をする時に行くことが多いかな。
*彩さんの作品。自然の草花をモチーフにしたピアスなどアクセサリーが人気
−最後に、今後の夢など実現したいことがあれば教えていただけますか。
リュネビル刺繍という言葉を、聞きなれない方も多いかと思うので少し説明をさせてください。
1800年代中世ヨーロッパで飛躍的に発展した刺繍がリュネビル刺繍。シャネル、ディオールなどモードのオートクチュール界で長年採用されており、ファッション・モード界でなくてはならない存在です。
リュネビル刺繍の魅力は、伝統的なテクニックを駆使して生まれる繊細かつ華やかなデザインももちろんですが、新しい素材を取り入れ組み合わせることにより、デザインやテクニックが今もなお進化し続けているところにあると思っています。
そんな私自身も、まだまだ人生の旅の途中。
軽井沢暮らしで多くの刺激や経験を得て、そしてその感動を作品に昇華することで、私自身も刺繍もどんどん進化していきたい。
アクセサリーやバッグの他に、枠に囚われないアートにもこれから挑戦していきたいと考えています。
決して、自分に自信があるわけではないんです。それでも私は私らしく生きたい。その方が楽しいからです。
いつかは「これが私だ!」と胸を晴れる作品を生み出したい。
やっとスタートラインに立ったところ。
本当にこれからです。
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今回ご紹介したお店
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- Sajilo Café Forest
- 場所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢859-1
- TEL:0267-42-5541
- 営業時間:11:00~15:00/17:00~22:00(月~金) 11:00~22:00(土日祝日) 年中無休
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- 丹念亭
- 場所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東4-2
- TEL:0267-42-5616
- 営業時間:9:00~19:00 8:00~19:00(GW、7月~9月) 年中無休